2010年03月19日

BNFとSBI北尾の会談

北尾:どうも、はじめまして。
BNF :どうも。
北尾:孫さんに会われたそうですね。孫さんが僕に言っていましたよ。孫さんは自分のお金を運用してもらおうと頼んだとか。
BNF :そうですね。
北尾:それで断ったそうですね(笑)
BNF :まあ、そうですね(笑)。自分のお金だけでも厳しいのにそれ以上は・・・。
北尾:7年前に160万円でスタートして、現在は170億〜180億円も運用している?すごいね、このパフォーマンスは!
BNF :ええ、まあそうですけど・・・、地合が良かったというのが大きいですね。自分がトレードを始めた時というのは、ネット証券が始まったばかりだったので短期売買をやっている人自体がほとんどいなかった時代だったので。
北尾:そうだよね。ネット証券の誕生とその売買システム、例えばマーケットスピードのようにトレーディングルームにいる機関投資家と同じようなシステムを個人が持てるようになったのが、いわゆるデイトレーダーが生まれてきた一つの背景だね。
BNF :ええ、ですから始めた当初はライバルが少なかった、ということはありますね。その頃は値動きが素直でしたね、下げ相場でしたが。
北尾:動きがわかれば「売り」から入ろうと「買い」から入ろうと、どちらでも大丈夫だからね。
BNF :自分の場合は「売り」からは入らないですね。
北尾:だいたい「買い」から入ってるの?
BNF :そうですね、「売り」はほとんどやってないですね。
北尾:ああ、そう(驚)?両方やるのかと思っていました。
BNF :「売り」はほとんどないです。
北尾:なるほど。今は資産が大きくなりすぎてしまっているので、値動きの激しい銘柄、例えば新興銘柄は手を出さずに大企業に集中しないといけないだろうね。
BNF :現在新興市場は盛り上がっていないですし、逆に大型株の方が盛り上がっていますから、そういう傾向はありますね。でも2005年前半までは新興市場は良かったので・・・。
北尾:そう、ライブドアショックまでは良かったんですよ。
BNF :ええ、ライブドアショックまではボリュームもあったので金額も結構いけたので、取引していましたね。
北尾:確かにライブドアショックが起こるまでの新興市場は、東証一部よりも儲かったと思うね。
BNF :自分の場合は始めた当初からずっと新興も東証一部も並行してやっているので、どっちが盛り上がっていても大丈夫ですね。
北尾:そう。ジェイコムの時はかなり話題になったけど、よく気がついたね?
BNF :まあ、あれは・・・、すぐに気がつきましたね。
北尾:「おかしいな、これは誤発注だ」と思って、7,000株くらい買ってそれだけで22億円くらい儲けたわけですね。
BNF :でもまあ・・・もっといけば良かったと思いましたけどね(笑)
北尾:もっといけた(笑)?なるほど・・・。では普段はどうやって銘柄は決めるの?やはりボリュームと値動きを主に見る?
BNF :そうですね、基本的にはそうですけど・・・
北尾:ファンダメンタルズは基本的に見ない?
BNF :いや、そんなことはないです。ファンダメンタルズと、世界情勢を見ていますね。
北尾:マクロ的なことは見ているわけだ
BNF :かなり見ますね。米国株がどうなっているか、中国株がどうなっているか、為替がどうなっているか・・・。短期で取引しているので、短期的に影響する項目、例えば選挙とか、そういったものは気にしながらやっていますね。
北尾:つまり、セミマクロの状況、例えば半導体がどうなっているかとか、そういうことまで見ているわけだ。
BNF :そうですね。例えば先日アメリカのインテルの決算発表があって、そういったものは短期的な株価に影響が出ますので。インテルの件で見ると、決算があまり良くなかったので日本株も連れられて売られました。米国株の先物が下がった、ということで売られたので・・・、インテルの件は次の日になればもう関係ないわけです。
北尾:なるほどね。
BNF :そういう短期的な株価に影響しそうな目先の重要なイベントを考えながら、世界情勢がどうなっているか、を見るわけです。今はけっこう為替に敏感なので為替を注意して見ていますが、その前は中国に敏感だったので中国株をすごく気にしていました。そこまで見た上で、後は値動きですね。それらを含んだ上で買える状況であれば買う、という感じですね。
北尾:今は昔と違って世界中の情報がインターネットを通じてリアルタイムで入ってくるからね。昔はインターネットなど無くて、テレックスで情報を仕入れていた時代だから、アメリカのマーケットの影響が出るまで時間がかかった。そういう意味では反応が早いだけ難しくなったのかもしれないね。
BNF :でも、それが個人からするとチャンスにもなるわけです。
北尾:そうだね。あなたのようにアメリカの影響がどう出るのかが読めているのであれば、インターネットの情報を元に日本の市場の動きも読みやすくなるね。アメリカの影響で一時的に下がった株を買い、次の日に戻したら売る、そんな方法が考えられるね。
BNF :そうですが、僕の場合はもう少し長く持つこともありますね。
北尾:だいたいどの位のスパンで見るの?
BNF :1日〜1週間くらいですね。
北尾:なるほど、デイトレードはしないんだね?
BNF :そういうのはあまり得意ではないんです。いろんな要素を含みながらもう少し長いスパンで、まあ長いと言っても短いのですが、取引をしています。
北尾:160億円以上の資産の運用となるとかなりの流動性が必要になってくるね。
BNF :まあ、2005年〜2006年前半までは結構いけたんですが、今年に入ってから売買代金が減ってきてしまい、値動きもアメリカに影響されて朝は動くんですけど場が始まっちゃうとあまり動かないんですね。
北尾:今は何時間くらい相場を見ているの?日本のマーケットだけを見ているの?
BNF :取引しているのは日本株だけです。外国のマーケットで取引はしていないので情報として見るくらいですね。
北尾:夜間取引が始まったらどうする?
BNF :いや、夜間取引が始まったら・・・、やっぱ見るんじゃないですかね(笑)。でも、出来高次第ですね。今カブドットコム証券がやっている夜間取引では出来高が全然ないので。
北尾:我々が作るPTSでは結構な出来高になるかもしれません。ただ、出来高に関しては法律で上限が決められているので、取引が増えてきたらPTSから取引所にならないといけないという状況になるかもしれないね。まあ我々のPTSは参加証券会社が多く、規模は大きくなる可能性が高いので、そういったことまで考えなくていけない。現在は5社で合意していますが、他にも入りたいという話が多く来ているのです。
BNF :楽天証券も入っているんですか?
北尾:ええ、ですから規模が大きくなる可能性は大いにあります。本当に規模が大きくなってきたら、やはり夜だけではなく昼も視野に入れなければいけないね。
北尾:新しくつくるPTSでは取引のスピードがもっと早くなるシステムを導入します。ですから今の東証のシステムでは対応できないような取引が行えるようになるわけです。
BNF :そうなってくると、東証の場口銭なんかも回避できるかもしれないので競争になりますね。
北尾:そう、競争になるよ。ただ、問題は欧米と比較して日本の取引所は東証、大証含めてあまり儲かっていないことなんです。そして収益力が低いために十分なシステム投資が出来ないという状況になっている。
BNF :東証も儲かってないとは思いませんが、欧米と比べるとそうですね。
北尾:だからといって場口銭を上げると大きな反発が出てくるでしょう。一方の我々は場口銭もなるべく下げて、イー・トレード証券をはじめ各証券会社に利益を還元することで、それを手数料などで顧客へと還元できるようにしていきたいと思っている。やはりネット証券になって手数料が安くなったことは個人にとって大きいことだね。
BNF :それが一番大きいですね。手数料が昔のように高いままだったら短期で取引できないですから。
北尾:今だって野村證券とイー・トレードを比べたら10倍以上違うよ。大手の証券会社のようにリアル店舗を構えて従業員をたくさん雇ったらそのくらい手数料を取らないとやっていけないからね。
BNF :でも今はリアルからネットへどんどん移行が始まっていますよね。
北尾:うん、でも個人の預かり資産で見たらネットに移行しているのは1割くらいしかない。これを変えていかないといけないね。
BNF :高齢の方々は証券マンとの付き合いとかがあってなかなかネットには行かないですからね。
北尾:それも時間との関数で当然変わってくるね。それにしてもまあ、あなたはずっとこの世界で身を立てていくの?これがあなたの天命、いや天職かな?
BNF :それはわからないですね・・・
北尾:どうしたい?例えばあなたくらいの実績なら、他の人からもお金を集めてもっと巨額のお金を運用することだって出来るかもしれないよ。
BNF :それは精神的に参っちゃうと思いますので。やはり他人のお金を運用するっていうのが僕には向かないですね。他人のお金を運用する場合はノルマがあるじゃないですか、毎月○○円儲けなければいけないとか。そういうノルマとかがあると、例えば月の半分が経過した時点でまだマイナスだった場合に焦って変な取引をしてしまって、それで損をしてしまう可能性もあるので。ですから、なるべく自分のペースでやりたいというのが大きいですね。なるべく無理はしたくないんです、市場は自分の都合で動かないのに無理して変な売買したらそれが大損になるかもしれないので、そうはなりたくないですね。
北尾:うん、なるほどね。
BNF :無理な取引によって失敗した人とかも結構見たりもしてきたので。すごく上手い人でもそうやって失敗することはありますしね。SBIさんもファンドやってるじゃないですか。ファンドマネージャーとかって大変だなって思いますね。
北尾:そうだね、やはり他人のお金を預かるということはそれなりに大変ですよ(笑)。そして今「無理をしない」と言っていましたが、僕も30年以上相場の世界を見てきたけど、やはり無理をしたらダメですね。無理をすること、欲をかくこと、この二つをやったらダメだと思うね。魚と一緒で頭と尻尾は捨てる、身の部分だけ食べればいいんです。ところがついつい「もっと欲しい、もっと欲しい」となってしまうと破滅してしまうんですね。
BNF :年間○%、とかノルマを課せられるとそうなってしまう気がしますね。自分のお金だけでも辛いのに他人のお金は無理ですよ。
北尾:でもあなたの場合は自分のアセットだけでもどんどん増えてきてるから、それだけでもきつくなるね。目標はどれくらいですか?
BNF :いや、目標とかは立ててないですね。
北尾:では、どのくらいまで伸ばせそうですか?
BNF :短期売買だともうそんなに増えていかないと思いますね。長期投資もやっていかないとさらに上は難しいと思うんです。短期で続けていく場合だと、200億〜300億くらいが限度かと思いますね。
北尾:短期売買で大きな金額を運用しようと思うと、小さな銘柄に投資すると自分の売買だけで値が動いてしまうから、大きな銘柄にしか投資できなくなるしね。そうやって制限されるようになってくると厳しいんじゃないかなって思うね。言われる通り。やはり金額が大きくなってくると長期投資が大事になってくるだろうね。
BNF :日本株だけでなく、海外株もやるっていう方法もありますね。今はやってないですけど、海外株もやっていかないといけないと思いますね。
北尾:今、アメリカのマーケットを見ているとM&A関連が結構盛り上がっているね。
BNF :アメリカは本当にM&Aのお陰でかなり株価が引き上げてられていますね。何兆円単位でのM&Aが次々に出てきて凄いですよ。
北尾:すごいよねえ、今回のマードックさんの一件とかは。
BNF :先日、ブルドックの件あったじゃないですか、あれは日本株全体にとってはあまりよくないですね。
北尾:あれによって、スティール・パートナーズのようなところは買収に出てくるのは難しくなったね。
BNF :ああいった形で買収防衛策を行うと、世界レベルでのM&Aの流れには中々追いつけない部分がありますね。ほかの国の株価はM&Aで上がっている部分がありますから。
北尾:今回のような判例が出てしまうと、グリーン・メーラーやそれに準じたような買収行為は難しくなってくるね。あのような結果になると予想はしていたけど、今回の司法の判決はきわめて日本的だったね。アメリカではあのような結果にはならない。
BNF :投資家から見ると、M&Aは株価が上がるので期待が持てます。日本ではそんなに何兆円とかいうレベルのM&Aはほとんどないですからね。やはりアメリカは規模が違いますね。
北尾:アメリカと比較すると、アメリカはお金が入ってくる国だからやっぱり強いね。中国を見ても中国は輸出超過型の貿易でどんどん外貨をためていって、その外貨をドルに変える。そうするとアメリカにドルが行く。そのお金はまず債券市場に行くわけだけども、その債券市場が溢れ出してくる。今サブプライムローンの問題があるけれども、こういったものが売れなくなってきます。そうなると、結果として株式市場にお金が入ってくる。この流れが大きいですね。そしてオイルダラーもありますね。産油国にたまったお金はアメリカに行く。残念ながら日本には来ないんです。
BNF :まぁ多少回りまわってくる分があるくらいですよね。
北尾:それでも、昔なら日本にも来たんですよ。世界第二位のマーケットだった頃は。ところが今は中国やインドに行ってしまう。これは昔はなかった現象ですね。
BNF :日本だけ蚊帳の外ですね(笑)。先日なんか、他の国は全体的に上がってたのに、日本だけ下がっていましたしね。
北尾:先日ベトナムに出張に行ったのですが、ベトナムのマーケットを見ていたらどんどん上がっていました。ベトナムくらいになると、アメリカとか中国とかの影響を受けないんですね。マーケット自体が小さいから、他の国からお金が入ってきたらもう上がるしかない。
BNF :日本でも海外への投資が増えて、お金が出て行きます。だから円安になっちゃうんでしょうね。そのお金もいつかは戻ってくるんでしょうけど。
北尾:現状ではお金が出て行くだけで入ってこない。だから日本の市場は上がらないんだね。
BNF :今の日本の株は一極集中って感じで、上がる株は上がるけど上がらない株は全然上がらない。ずっとそんな感じですね。商社とか世界規模の仕事をしてるところは結構上がるんですが、国内向け企業は中々上がらないですね。
北尾:商社といえば、今資源の値段が上がってるでしょ。私のところでも中国のチタンの会社を買いたいと考えていたのですが、世界中から引っ張りダコみたいでね。昔、世界中でチタンが枯渇するという噂が流れて、日本のチタン関連の会社の株がものすごく上がった時期があった。それと同じような現象ですね。商社株が強いのは、そういった資源系に関わっているというイメージが強いからかもしれませんね。
BNF :資源株は強いですね。三菱マテリアルとかも強いし。
北尾:資源は強いですよ。今中国では政府自体が力を入れて資源を買い漁ってる、という状況でしょう。
BNF :資源の値段が上がりすぎちゃって、資源を扱ってる会社の株を買収した方が安い、っていう感じだったみたいですね。
北尾:日本の企業はそういったものに対してのアクションがものすごく遅いね。このままじゃ中国の企業のほうが力持っちゃいますよ。
BNF :確かに中国は早いですよねぇ。
北尾:びっくりするくらい早いよね。やっぱり華僑の伝統からか、嗅覚がものすごく発達しているように感じますね、お金に対しての嗅覚が(笑)。 日本人はその点のんびりしてる。
BNF :まぁ島国なので、その辺に無頓着なのかもしれないです(笑)。
北尾:この次くるのは、僕は食料だと思っています。
BNF :もう来はじめていますね。
北尾:確かにバイオテックの関連で既に来ていますね。ところが、これからもっと健康ブームが世界中で浸透してくると、世界でもトップクラスの長寿を誇る日本の食事が見直されるようになる。そうなると魚類関係が来るわけです。それと、やはり水だね。
BNF :もう世界的に水不足ですからね。
北尾:中国の黄河が、四大文明の一つである黄河文明の中心となった黄河が、枯れてきているというのだから問題は深刻です。一方、水がある揚子江でも汚染のために飲むことはできない地域があるそうです。
BNF :その点、日本は雨がたくさん降る国なのでそれが資源になるかな、と思っています。ですから日本には農業とかが良さそうですね。まずは農地を自由化して欲しいのですが。
北尾:食料に関してはやはり食料安保の考え方が基本的にあって、なかなか自由化しないんだよね。お米にしても、それ以外にしても。
BNF :でも、世界的に人口が増えてしまっているので、どうしても食糧が不足してしまうんです。その中で食料の価値というものが、どんどん上がっていきます。そう考えると日本には「雨が降る」というすごく有利な条件がありますので、日本は資源の無い国ですが農業とかも資源になるんじゃないかと思うんです。
北尾:農業を発展させるという意味では、成長を早める薬とかが重要になるかもしれないね。例えば、林原生命科学研究所が開発しているトレハロースを植物に入れると物凄く成長が早くなる。そういう技術が脚光を浴びてくるのではないかと思うね。
BNF :人口は増え続けていますが、食料も資源も無限ではないじゃないですか。ですから、そういった技術や新しいエネルギーは、人類の永遠のテーマとして追求されていくでしょうね。
北尾:現実問題として地球全体が異常気象に見舞われ始めているし、温暖化のために南極の氷も溶け始めている。そうなってくるとやはり省エネも大事になってくるね。
BNF :資源を効率よく使えて、地球温暖化にもいいということで原子力も今注目されていますしね。原子力関連銘柄は強いです、東芝とか。
北尾:そうだね。資源というと、以前ベトナムに紙の原料をつくる大プランテーションを作らないか、という話があったね。物凄く広い土地を使って紙の原料である木を栽培する。人類が生きていく上で紙は必要不可欠な材料だから、人口の増加に伴ってこれが不足する前に押さえておこうという話。是非とも出資して欲しいと言ってきてね。
BNF :結構儲かりそうですね(笑)。
北尾:でも、紙の原料は栽培はじめてから出来るまでに6年もかかるって。6年もしたら僕はもういないかもしれない(笑)。自分で責任の取れない投資はしないことにしているからね。でも、どちらにしても今は日本国内に投資するよりも海外に投資したほうがずっと効率がいいと思うね。
BNF :海外が盛り上がっている中で日本だけ取り残されていますしね。
北尾:僕の考えではお金を儲けるということは全てアービトラジだと思っている。要するに鞘を取っていくことです。例えば日本は先進国なので後進国に行ってその鞘を取ってくる。後進国の方がお金がないので金利も高くつくから金利の鞘だって取れる。これが僕のビジネスの発想の根幹にあるわけ。
BNF :日本は先に成長した国なので、日本にいるだけで他の国がどういう風に成長していくかがある程度読めるので、その点では有利ですね。
北尾:そう。そしてインターネットの世界では、かつてアメリカが日本より5年先をいっていた。アメリカで成功したものを日本でやれば必ず成功するだろうという発想で、例えばヤフーやイー・トレードなんかも持ってきたのです。タイムマシン経営なんて言ったけど、これを利用してアビトラージで儲けていくっていうのは、ひとつの儲け方かもしれないね。
BNF :会社組織じゃないと難しいですよね。個人レベルだと株を買うとか、まぁせいぜい海外の株を買うとかそういうレベルになっちゃいますね。
北尾:そうだね。個人で出来ることには限界がある。だから、如何に他の人と違う形でいけるか、というのが重要なんだろうね。さっき言われたように、市場に出て行くのが比較的早かったというのは良かったんだろうと思いますよ。
BNF :はい。そうですね。
北尾:でも、160万円を170億円にしてこれ以上儲ける必要があるかって話もあるよね(笑)?
BNF :まぁ確かに(笑)。それはありますね。
北尾:それでもまだ儲けたい?
BNF :ーん・・・。儲けたいっていうよりも、機会損失をしたくないからやってるという感じがありますね。日経平均が300円くらい上がっているときに何の取引もしていなかったりして「あぁ、今日やってれば2億円くらい儲かったのかな」って考えちゃうと2億損したのと同じような気分になっちゃう。そういう風に思いたくないから続けてるってところはありますね。だから中毒なのかもしれません。
北尾:中毒ね(笑)。
BNF :基本的にそうなんですよ。金額的にはもうやめてもいいんですが、儲けそこなったりしたら嫌だなっていうのがあるから、どうしても毎日画面を見ちゃうんですよね。
北尾:でも見てしまうと集中するから結構疲れるでしょ?
BNF :そうですねぇ。もう30近くなってきたんで(笑)。今後はもっと長いスパンで、長期とかもやっていかないと資金的にも増えていかないかなと思いますね。短期だと精神的にもきついし、利益率もどんどん悪くなってくるんで、今後は長期投資も取り入れていかないと難しいのかな、とは思ってます。
北尾:ウォーレン・バフェットも基本的に長期だからね。彼の投資した銘柄の中でジレットやコカ・コーラが有名だけど、彼は継続的に消費するようなものに投資したんだね。
BNF :長期だと、そうするべきですね。
北尾:ジレットなんかは、本当にうまいと思うよ。普通のヒゲソリ使っていて、しばらくしたら「その替え刃はもう作ってません」なんてこと言うんだから。しょうがないから新しいものを買ってしまう。それから今度は二枚刃、三枚刃ってどんどん商品をグレードアップして出す。でも、どっちがいいかって昔のほうが良かったんじゃないかって気がするけどね(笑)。
BNF :確かに上手いやり方ですね(笑)。
北尾:ところであなたの名前は、投資家のヴィクター・ニーダーホッファーから取ったそうだね?彼のどういうところを気に入ったの?
BNF :ヴィクター・ニーダーホッファーはヘッジファンドを運用していて、高いパフォーマンスを続けていたんですが、破産するくらいまで大損しちゃったんです(笑)。オプションだったんですけど、他の人が皆売ってた時にその人だけはプット・オプションを空売ってたんです。上がる方に賭けてたんですね。他の人が売っている時にその人だけ強気なポジション取って、結果的に追証になって強制決算させられて、それで大損しちゃったんです。でも、読み通りにその後すごく上がっていったんです。あの時、市場が30分早く閉まってしまい、それがなければ大成功だったかもしれません。普通、あれだけ成功してたらオプションであれだけ強気の、破産スレスレのポジションを取るなんてできないじゃないですか?それができるだけで、儲けるポテンシャルが高いってことなんだと思うんですよ。普通の人ができないことをやってるので。
北尾:市場が30分早く閉まる。彼の場合は「運」が無かったんだろうね。僕はこの相場の勝ち負けっていうのは確実に「運」があると思いますね。

BNF :いろんな「運」がありますね。始める時期とか。
北尾:本当にその「運」に恵まれている人と恵まれてない人と、その差が正直に出てくるね。相場は。
BNF :自分の場合だと時期的なものがすごく大きかったですね。ちょうど自分が学生のときにネット証券とか手数料自由化が始まったんで。だから10年早く生まれていたら駄目だったろうし、10年遅く生まれても全然こういう風に儲かっていなかったと思います。
北尾:始めたのは大学3年のときからだっけ?
BNF :そうなんですよ。ちょうど暇で(笑)。
北尾:そのころから株式には興味持ってたの?
BNF :そんなに興味無かったんですよ。やっぱりネット証券とか手数料自由化が始まったのが大きいですね。それまではほとんど興味なかったですね。
北尾:まぁこれからだよね。その170億円を1700億円、2000億円にするのか、もしくはまた1000倍にしちゃうかとかね(笑)。
BNF :それはもう長期でやるしかないでしょうね。個人レベルだと情報の面で限界があるので、なかなか難しいですね。
北尾:情報面での限界ね。でも最終的には自分の持っている情報と自分自身を信じ込むしかないんだよね。バフェットも信じ込んだ。60年代にマンハッタンファンドを作ったジェリー・サイは、当時まだ新興企業だったゼロックスやIBMに次々と投資した。それがどれもものすごく上がって大成功になった。彼はこうした当時の新興企業の将来を信じた。
BNF :普通はそこまでリスクは取れないですからね。
北尾:ジェリー・サイの場合はその後また生保を買うんだよね。相場で儲けて事業を買う。その事業を育て上げてまた儲ける。
BNF :バークシャーなんて完全にそうですよね。普通の繊維会社だったのを買って。日本で言えば、ソフトバンクもそういう風に成長してきましたね。
北尾:結局ソフトバンクが今日まで事業を伸ばせたのは、ヤフーに投資した100億円のお陰ですよ。これが何倍にもなったわけだから。
BNF :ヤフーは大成功でしたね。ソフトバンクにとって本当に大きかったと思います。でももうアメリカのヤフーは結構売ってしまいましたね。
北尾:アメリカのヤフーは売ったね。売った当時は持っていた方がよかったんじゃないかという議論もあったけど、最近はそういう議論が消えたね。
BNF :まあアメリカのヤフーは上がっていないですからね。先日の決算発表でも6四半期連続減収減益って感じですので。
北尾:もう完全にグーグルが抜いたからね。ヤフーの人海戦術に対してグーグルの考え方は最初からロボットだった。人海戦術にはすぐ限界が来るけど、ロボットはどんどん進化するんですね。
BNF :しかし、グーグルは本当にすごいなあと思いますよ。NHKスペシャルを見たときに特集をやっていたんですけど。まあ、アメリカを見ていると本当にスケールが違いますね。最近米国株は自社株買い、ダウに入っている30銘柄の中で自社株買いを発表することが結構多いです。それも何兆円とかレベルで。
北尾:IBMなんか凄いことやっていたね。自社株買いをするために転換社債を出す。そして行使価格を今の株価よりもだいぶ上にした。そしてそれで資金調達をして、それに見合った同じだけの株を市場から買う。だけど行使価格が上だから必ず上に行く、という訳です。面白い方法を考える人がいるんだよね。僕もずっと研究していますが、僕の研究テーマの一つは資金調達と株価、M&Aと株価なんです。
BNF :アメリカは本当にすごいですね、金融に関しては圧倒的だと思います。製造業が駄目でも、貿易赤字がすごくても結局金融で取り返すんで。日本の場合は株式市場が低迷しているからみんな難しいんですよね。資金の流れが今悪いんで。ライブドアショックが結構効いていますよ、日本は。
北尾:今考えると、僕が登場したこともライブドアショックを起こすようなことにつながったかもしれないね。
BNF :まあ、色々あって結果的にライブドアショックが起こって・・・、新興市場は一気に低迷してしまいましたね。
北尾:そう、ある意味で自分の首を自分で締めたようなことが若干あるんですよね(笑)。ライブドアはファンドを使って決算操作をしていたので、ファンドについての監査が厳しくなった。そうすると他の新興企業も次々と問題起こしていく。
BNF :新興は下方修正する企業がすごく増えたんですよね、あの後。それで新興市場の信頼性が失われたことが、低迷した一番の理由なんですよね。信用がなくなっちゃって、それで株をやめる人がどんどん増えていって・・・。日本株が世界的に出遅れている原因として、個人投資家が元気ないっていうのが一番大きいと思うんです。他の国はあれだけ株が上がっていれば、多分個人投資家もすごい盛り上がっていると思うんですけど。日本はあまり盛り上がっていない。
北尾:日本の場合は機関投資家も原因だね。90年代初頭に始まって2000年に入ってからも続いたあのバブル崩壊の後遺症がずっとあって、毎日毎日株価下がっていくあの経験を忘れられない機関投資家のポートフォリオマネージャーがものすごく慎重になっている。ジョン・ケネス・ガルブレイスが『バブルの物語』で言っているように、これはもう世代交代しないといけないかもしれないね。
BNF :自分はちょうど落ちたところくらいではじめているんですよね。80年代の日本はバブルを作っちゃったと思いますが、今の中国がそんな感じになってますね。
北尾:あの時の日本は企業業績が伸びていないのに、株価や土地の価格だけ上がり続けた。中国はそうではなくて業績もどんどん伸びているから、まだまだ伸びる銘柄が沢山ある。
BNF :日本も89年に日経平均は天井をつきましたけど、でもその後、本田とかトヨタとか京セラとか業績のいいとこは上がっていきました。今の新興市場でも中にはDeNAのように、業績が良くて上がっているところもあるんで。
北尾:もちろん業績は大事な要素だけれど、結局マーケット全体が下がるときに業績はほとんど影響なかったね。機関投資家は売れるものから売っていく。外国人もあの時はもう日本のマーケットからどんどん売れる株から売ってゲットアウトしていたでしょ。だから出来高の高いもの、そして業績が比較的よいものもどんどん売り出していった。結局全部下がっていったね。やっぱりそれが相場の一つの流れだと思うんですね。
BNF :それでも長い目で見ればトヨタとか本田とか……
北尾:そう、それこそがまさに「買い場」なんですよ!!
BNF :そうですよね。そういう銘柄こそが長期的に見れば「買い」なんだと思いますね。
北尾:それだけ毎日株のことだけを考えていたら、休む暇もないね(笑)。例えば、どういう時に幸せを感じますか?
BNF :幸せを感じるときですか・・・。あんまり、そんなにないですね。全部売り抜けたときですかね(笑)。短期でやってるんで、常に心の余裕がない感じですね。ですから売り抜けた後も、また買う銘柄が出てくる可能性がありますし・・・。株始める前とかは、結構ボーっとしてましたけど(笑)。
北尾:いや、株の世界ってそうですね。僕も機関投資家相手にセールスやっていた時は、もう本当に毎日毎日休める暇なんてなかった。しかし、寧静致遠という言葉があるように、落ち着いたゆっくりした気分にならないと遠大な境地に達することが出来ない。これは諸葛孔明が五丈原の戦場で陣没する時に自分の息子に遺言として残した言葉だけど、そういう時間も持とうとしないといけないね。
BNF :まあそうですが、なかなか余裕ないですね。
北尾:そういう点では短期は特に厳しいですよ。しかし、僕のお客様で儲かっていた人は、ほとんど短期でやらなかった。最近読んだ「日本経済のリスク・プレミアム」(著:山口 勝業)という本は非常に優れた本でしたが、そこでも50年にわたる実証分析結果、長期投資のほうが良いという結論になっていましたよ。
BNF :でも、それは資金にもよると思うんですよね。例えば100万円を長期で運用して、3倍になっても300万円とか。これじゃあんまり意味がないと言うか・・・
北尾:それは短期でやった方がいいよ。ある程度の資金がなければ、長期投資を考えるのは厳しいと思うね。
BNF :だからある程度資金増えてからは本当に長期の方がいいかなとは思いますね。
北尾:そうそう、そうしないと難しいよ。今のあなたのレベルだともう完全に長期の方がいいだろうね、実際問題。
BNF :長期でもいいんですけど、なかなかそういうのはあんまり分からないんで。その辺がまだまだと言うか、だから駄目なんですね。
北尾:駄目ではなくて、それは考える暇がないから。だからちょっと落ち着いた雰囲気になって、遠大な境地に達してごらん。それこそウォーレン・バフェットみたいなことになるかもしれないよ(笑)。
BNF :ちょっと心のゆとりがないんですね、自分の場合。常に何かに追われている感じがするんで。
北尾:やっぱり幸せを感じる瞬間を出来るだけ作った方がいいね。決してパフォーマンスがよかったから、儲けたからって幸せを感じるものではないと思うよ。だから、例えば家族のこととか、子供の成長だとか。そういう幸せを感じる瞬間をどんどん増やしていった方がいいと思うね。
BNF :そうなってしまったら、あんまり株に集中できなくなってしまう、というのもありますけどね(笑)。
北尾:まあ、それはそれでいいんだと思うよ。そうやって成長していくんですよ。投資家としても。それでいいんじゃないかな。
BNF :だから先々のこととか色々と考えると、もうちょっと長期投資とかの勉強していきたいんですよ。
北尾:短期投資だけでなく、長期投資でも大いに成果上げてくださいよ。その時にはイー・トレードも使ってくれるとありがたいですね。他のサイトに慣れてしまうと、慣れで使い続けてしまうこともあると思うけど、長期投資だったら使い勝手はそんなに問題にならない(笑)。
BNF :まあ日本株の長期投資はなかなか考えていないですけど(笑)。
北尾:もちろん外国株も含めてね。そんなに遠い先の話じゃないんだけど、僕の夢は自分のPCの前で世界中の銘柄が自由に買えるようになること。そして日本の投資家がグローバル・アセット・アロケーション(国際分散投資)をやる上で、ためになることを次々とやっていこうと思っている。
BNF :それは素晴らしいですね。
北尾:でも今まで僕がやってきた中で、一番投資家のためになったことというと、やはりイー・トレード証券を作って手数料を極力下げたことだろうね。それまで大手の証券会社などの高い手数料は、全部自分たちの懐に入ってたわけでしょ。それを全て投資家に返した。
BNF :そうですね。そのおかげで短期売買が出来るようになった。
北尾:そして、そのおかげでイー・トレード証券も儲かるようになった。だから、これはめぐりめぐっているんだけどね。
BNF :そう考えるとネット証券ってよく出来ていますね。
北尾:そう。そして今までなら大手の証券会社が株を買う相手として見做していなかった20代、30代の若い人たちのおかげでイー・トレード証券は収益が出てきているわけです。もう一つ大事なことは20代や30代の人は30年経ったら50代や60代になっていく。そうなると富裕層になっていくということです。
BNF :そうですね。逆に野村證券の顧客の年齢層は上がっていきますからね。
北尾:だから経営は時間の関数なんです。僕は会社を作るときにいつも20年経った時に、この方がいいっていうことが立証されるような、そういう会社を作ってきた。
BNF :ネット証券やインターネットの会社なんかもそんな感じですね。だから今20代30代の人だったら年をとっても皆インターネットやるんで。
北尾:やるんですよ。もう50代や60代の人も皆PCだとか携帯だとか、そういったものを活用するようになります。今までの常識なんてなくなってきて、もっと新しい世界がくるかもしれない。それまでにもっともっと資産を伸ばして下さい。
BNF :ええ、まあ(笑)。
北尾:いや今日はどうもありがとうございました。
BNF :はい、ありがとうございました。
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